GMOインターネットグループの上場子会社の数を数えたことがあるだろうか。GMOペイメントゲートウェイ、GMOフィナンシャルHD、GMOグローバルサイン・HD、GMOメディア、GMOリサーチ……ざっと数えるだけで10社近くが東証に名を連ねている。
一つの事業グループとしては、異常な多さといわざるを得ない。
「上場させない」ことが正しい資本政策
GMO子会社の中で最も業績が安定しており、成長性も高いのはGMOペイメントゲートウェイ(3769)であろう。決済インフラという参入障壁の高さ、ストック型の収益構造、高い利益率。これだけの条件が揃った事業であれば、本来は親会社が100%保有し続けるべきである。
なぜか。100%子会社であれば、その事業が生み出すキャッシュフローと利益成長の果実を、親会社の株主がそのまま享受できるからだ。
ところがGMO-PGを上場させてしまった結果、本体株主の取り分は持株比率に応じた分だけに限定される。上場させた瞬間に、本来独占できたはずの価値を市場に切り売りしたことになる。
これは資本政策のミスである。
「仕方なく上場させた」事例はGMOだけではない
同じ構図はソフトバンクグループにも見られる。
孫正義氏はアームの買収やビジョンファンドへの出資など、次々と巨額の投資を実行し続けた結果、慢性的な資金不足に陥った。通信事業のソフトバンクは、安定したキャッシュを生み続ける優良資産である。本来であれば100%保有し続けたい筆頭格だ。
しかし2018年、ソフトバンクGは通信ソフトバンクを上場させ、約2.4兆円を調達した。仕方なく優良資産を市場に出した、というのが実態に近い。
ここから一つのシンプルな原則が導き出せる。
「子会社を上場させない会社ほど、資本配分が上手い」
バークシャー・ハサウェイは傘下の優良企業を基本的に100%取得にこだわる。GEICOの完全子会社化はその最たる例だ。子会社を上場させるということは、「資金が足りていない」か「経営規律が甘い」か、そのどちらかの裏返しである場合が多い。
個人投資家にとっての現実的なリスク
こうした構造が、個人投資家に何をもたらすか。
親子上場の最大のリスクは、MBOによる強制退場である。親会社は子会社の業績を誰よりもよく知っている。「株価が低迷している今がチャンス」と判断すれば、割安なプレミアムを提示してMBOを仕掛けることができる。少数株主は言い値を受け入れるか、株式買取請求権を行使するかの二択しかない。
筆者自身、以前保有していた平安レイサービス(7375)でMBOを経験した。結果的に2倍近くになったのだが、長く持っていれば3〜4倍にもなったかもしれない。MBO前から長期保有していた投資家が、本来最も報われるべき存在であるはずが、親会社の都合による割安な価格で退場させられるケースは現実には存在する。
親子上場銘柄はどこまでいっても「親会社の持ち物」であり、少数株主は間借り人に過ぎない。この冷めた認識を持たないまま長期投資をするのは危険である。
東証は問題視し始めているが、構造は変わるか
東証もコーポレートガバナンス・コードの改訂を通じ、親子上場における利益相反を問題視する姿勢を強めている。方向性は正しい。しかし、オーナー経営者が支配権を持ちながらIPOで資金を得るという構造は、経営者にとってあまりにも都合がよく、簡単には変わらない。
MBO、TOBで上場廃止となった企業数は昨年過去最高だったようだ。そんな中で、少数株主を守る制度的な枠組みは、今後本当に整備されていくのだろうか、、、









