「全世界5億ダウンロードを超えているのに、時価総額が116億円」
この数字を見たとき、強い違和感を覚えた。成功しているプロダクトとしてはあまりにも小さい。これはバリュー投資のチャンスなのか、それとも市場が正しく評価しているのか。自分なりに整理してみた。
まず業績を確認する
2025年12月期の売上高は50.05億円、営業利益12.01億円。2026年12月期は売上高54.54億円、営業利益13.55億円を予想しており、増収増益が続いている。
現在の株価は632円、時価総額116億円。PERは12.7倍、ROEは29.9%、自己資本比率は67.8%。 売上の5年CAGRは12.6%、営業利益の5年CAGRは実に57.6%と、収益性の改善ペースは相当速い。数字だけ見れば、悪い会社では全くない。
なぜ評価が低いのか
問題は「天井が見えやすい」ことだ。
アイビスペイントのユーザーの大半は、中高生や絵の初心者層だ。無料で始められるため、試しにダウンロードしただけのユーザーも相当数含まれる。その結果、1人あたりの課金額(ARPU)は構造的に低く抑えられる。AdobeのようにプロがBusiness用途で使わざるを得ないポジションとは根本的に違う。
資本市場が好む「青天井の成長ストーリー」を描きにくい——これが低評価の正体だろう。
AIは脅威か、追い風か
「生成AIが絵を描く時代にペイントアプリは不要では?」という議論がある。ただ私はこれに懐疑的だ。アイビスペイントのユーザーが求めているのは「完成した絵」ではなく、「自分で描く体験」そのものだからだ。AIは結果を出すが、アイビスは過程を売っている。競合しているように見えて、求められている価値が違う。
むしろ、AIを活用した新機能の追加によって課金ユーザーを増やす余地がある。サブスクリプション収益の拡大が今後のカギだ。
投資判断
PER12.7倍、ROE約30%というバリュエーションは、成長性を考えると割安感がある。ただし「マネタイズの上限が見えやすい」「ユーザー層の可処分所得が低い」という構造的な問題は解消されていない。
買うとすれば、サブスクリプション比率の上昇と海外マネタイズの進捗を確認してから、が現実的な判断だ。今は「ウォッチリスト入り」の段階である。









