公共施設の建て替えや運営に民間が関わる仕組みには、PPP、PFI、DBOなど複数の方式がある。ニュースや適時開示でこれらの言葉を見かけることが増えているが、違いがよくわからないという人も多いと思う。
投資家として関連銘柄を見る上で、この違いを理解しておくと見え方が変わる。
まずPPPが大枠、PFIとDBOはその手法
PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)は「官民連携」の総称だ。公共サービスの提供に民間が参画する仕組み全体を指す概念で、PFIもDBOもPPPの一種だと理解すれば整理しやすい。
PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)
民間が自ら資金を調達して施設を建設し、長期にわたって運営する方式だ。自治体は施設を建てるための初期費用を負担しなくていい。その代わり、民間事業者に対して毎年サービス対価を支払い続ける。
契約期間は15〜30年と長く、民間にとっては安定した収益が見込める。施設の設計・建設・維持管理・運営を一括で受託できるため、大手ゼネコンや不動産会社にとっては大きなビジネスになる。
DBO(デザイン・ビルド・オペレート)
設計・建設・運営を一括で民間に委託するが、資金調達は自治体が行う方式だ。PFIとの最大の違いはここだ。民間は資金リスクを負わない分、参入ハードルが下がる。
自治体側も低金利で資金調達できる場合はDBOの方がコストを抑えられることがある。近年、上下水道や廃棄物処理施設でDBOの採用が増えている。
投資家として注目するポイント
方式の違いが企業の業績に与える影響は大きい。
PFIは民間が資金調達するため、財務体力のある大手企業が有利だ。大林組、大成建設、清水建設などの大手ゼネコンや、三井不動産、住友不動産などのデベロッパーがコンソーシアムを組んで受注するケースが多い。契約が取れれば長期安定収益になるが、初期投資が重くなるリスクもある。
DBOは資金調達が不要な分、中堅建設会社や専門的な運営ノウハウを持つ企業にも参入機会がある。水処理のメタウォーター(9551)や、スポーツ施設運営のコナミスポーツなど、特定分野に強みを持つ企業が受注しやすい構造だ。
指定管理者制度はさらにハードルが低く、地域に根ざした中小企業や非営利団体も参入できる。地方の中小型株を見ていると、地元の公共施設を指定管理で受託している企業が意外な安定収益源を持っていることがある。
国策としての追い風は本物か
政府は今後10年で30兆円のPPP・PFI市場を目指すとしている。老朽化した公共施設の更新問題は全国共通の課題で、財政難の自治体が民間活用を進める流れは止まらない。
ただし実際の案件化は遅い。住民の反対、地元業者優先の政治的圧力、担当者の知識不足。現場には様々な障壁がある。「30兆円市場」という言葉に飛びつくより、実際に案件を積み上げている企業を地道に探す方が投資としては正しいアプローチだと思っている。
適時開示で「PFI事業受注」「指定管理者選定」といった言葉が出てきたら、その企業の長期収益への影響をチェックする習慣をつけておきたい。
筆者:30代・証券アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)。銀行員→シンクタンク研究員。日本中小型株を中心に中長期投資を実践中。









