【書評】上岡正明『年収1億円になる人は、「これ」しかやらない』──個人投資家目線で読んで刺さったところ

「年収1億円」というタイトルだけで、普段なら素通りしてしまうかもしれない。どうせ「成功者マインド」を語るだけの自己啓発本でしょ、と。岩手県に出張の機会があったので、長い飛行機旅の暇つぶしに読むことにした。著者は投資歴25年で約6億円の資産を形成してきた実力者である。読んでみると、共感できる文章が多かった。

■ 本書の概要

著者の上岡正明氏は、広報PRコンサルティング会社を経営しながら、脳科学の研究・投資・YouTube(登録者20万人超)を掛け持ちする多動系の経営者だ。本書のテーマは明快で、お金を稼ぐのに頭の良さや才能は関係ない、すべての差は「行動」から生まれるというものだ。約1000人の一流経営者・実業家の行動パターンを分析し、脳科学的に正しい成功の法則を34のステップで体系化している。構成は「成功者のマネ方」「時間の使い方」「メンタル強化」「複利の法則」など7章に分かれており、どこから読んでも実践に移せる構造になっている。

■ 一番刺さったのは「複利の法則」

投資家として複利の概念はもちろん知っている。だがこの本は、それを「お金だけでなく、行動・習慣にも複利が働く」という形で語っている。毎日1%の成長を積み重ねると1年後には37.7倍になるが、逆に毎日1%サボり続けると0.03倍になる。これ、株式投資の長期保有とまったく同じ発想だ。僕が「2〜4年で2倍」という目標を投資で設定しているのと同じで、時間軸を長く取って複利を味方につける人間が最終的に勝つ。ブログも、社労士の勉強も、Xの発信も、毎日の積み上げがいつか37.7倍になって返ってくると思えば続けられる。

■ 「アウトプットがインプットを超えないと人生は変わらない」

本書では、知識を蓄えることよりも行動してアウトプットする量を増やすことが不可欠だと繰り返し強調する。これは耳が痛い話だ。仕事でも、株式投資でも頭の中にある分析をアウトプットしてはじめて価値が生まれる。本を読んでわかった気になっているのが一番危うい。

■ 「小さな行動が先、大きな目標は後」という順番の話

目標を細分化して、今日明日に確実にできる行動レベルまで落とし込む。設定した行動を習慣化するまでひたすら繰り返す。この話、社労士試験の勉強にもそのまま当てはまる。「社労士に合格する」という大目標よりも、「今日の労基法のページを3ページ読む」という小さな行動を積み重ねることが現実的だ。

■ 「年収1億円は3つの収入の組み合わせ」という整理が明快

本書では、年収1億円に現実的に近づくには、労働収入(仕事・起業)、金融投資(株式投資など)、副業という3つの収入源を組み合わせることが必要だと述べる。これは僕がずっとやってきた、サラリーマン×投資×ブログ・副業というポートフォリオの方向性と完全に一致していた。答え合わせをされた感覚だ。1本の収入軸に依存するリスクは、株で言えばポートフォリオに一銘柄しか持たないのと同じだ。

■ 気になった点

正直に言えば、内容の密度にムラがある。章によっては「それ、他の本でも読んだな」というレベルの話も混じっている。脳科学的な根拠が示されると説得力があるのだが、後半にいくほど一般的な自己啓発論に近づいていく印象だ。また、成功者1000人分析とあるが、その具体的なデータや事例をもっと見せてほしかった。

■ まとめ

「年収1億円」というタイトルは過大広告気味かもしれない。ただ、複利・行動・アウトプット・収入の分散という軸で語られる内容は、地に足がついていて実践的だ。特に投資をやっている人間には、書かれていることの意味が体感としてわかりやすい。既にやっていることの確認作業にもなるし、まだ動けていないことへの背中を押してもくれる。

「行動の差が、すべての結果を分ける」。当たり前のようだけど、たまに活字でそれを再確認するのは大事なことである。

上部へスクロール