証券アナリスト(CMA)とは何か|難易度・取得メリット・試験概要を合格者が徹底解説

「証券アナリストって何をする人?」 「CMAって難しいの?どんな試験?」 「取ったら年収や転職に有利になるの?」

この記事では、そんな疑問にすべて答える。

私は銀行員として働きながら、一次試験をストレートで合格し、二次試験は一度不合格を経験した後、翌年の再トライで合格した。現在はシンクタンク研究員として勤務しながら、この資格を投資ブログの運営にも活かして(?)いる。

資格の概要から試験の内容、取得メリット、正直な難易度評価まで、合格者の視点からまるごと解説する。


証券アナリスト(CMA)とは何か

証券アナリスト(CMA:Chartered Member of the Securities Analysts Association of Japan)は、公益社団法人日本証券アナリスト協会が認定する民間資格だ。

金融・投資のプロフェッショナルに必要な知識を体系的に学ぶことができ、企業財務、経済、資本市場、ポートフォリオ理論、職業倫理など幅広い分野をカバーしている。

金融業界では知名度が高く、証券会社・銀行・保険会社・運用会社などに勤める人が取得するケースが多い。最近はNISAの普及もあり、一般の投資家にも注目されつつある資格だ。


試験の全体像:一次と二次の2段階構成

CMAの取得には、一次試験と二次試験の両方に合格する必要がある。さらに3年以上の実務経験が必要となる。

一次試験の概要

一次試験は3つの科目に分かれており、それぞれ個別に合格を目指す科目合格制を採用している。

科目Ⅰ:証券分析とポートフォリオ・マネジメント 試験時間170分・170点満点。株式・債券・デリバティブの分析、ポートフォリオ理論などを扱う。3科目の中で最も配点が大きく、難易度も高い。

科目Ⅱ:財務分析とコーポレート・ファイナンス 試験時間100分・100点満点。財務諸表の読み方、企業価値評価、コーポレートファイナンスを扱う。会計・財務の知識がある人には比較的取り組みやすい。

科目Ⅲ:市場と経済の分析・数量分析・職業倫理 試験時間90分・90点満点。マクロ経済、統計・数量分析、職業倫理を扱う。職業倫理は一定水準(近年は6割程度)を取らないと、他の部分で点数が足りていても不合格になる点に注意が必要だ。

試験は年2回(春・秋)実施される。3科目を同日に受験することも、科目を分けて受験することも可能だ。私は2回に分けて受けた。

なお、2026年秋試験より国内の一部会場でCBT方式(コンピューター試験)への移行が始まる。

二次試験の概要

一次試験の3科目すべてに合格した翌年から受験できる。年1回、6月に実施される。

二次試験は記述式の総合試験で、計算問題を含む応用問題が出題される。一次試験のマークシートとは異なり、解答に至るプロセスも採点される。

直近の合格率は約44%。一次試験より合格率は高いが、記述式という形式の難しさがある。

合格後の手続き

二次試験合格後、3年以上の実務経験(証券分析に関連する業務)を積むことでCMA(検定会員)として正式に登録できる。


受験資格と登録方法

受験資格

年齢・学歴・職業に関係なく、誰でも受講・受験できる。ただし、必ず日本証券アナリスト協会の通信教育講座を受講してから受験するという条件がある。講座を受けずに受験することはできない。毎年5月から翌年1月までの受講期間に申し込まないといけない。つまり、2月に受験を思い立っても、4月の春試験は受験できないということになる。つまり、合格までの道のりがかなり遠いのである。受講→1次全科目合格→2次合格という段階を踏むためである。

受講料・受験料

一次レベル講座の受講料は約6万円。二次レベル講座は約5万7千円。受験料は別途必要だ。決して安くはないし、後述するがこの講座は受験にほぼ役に立たない。

申込みの注意点

申込期間が試験日の約1ヶ月半前に締め切られる。締め切りが早いため、受験を考えている場合は早めに動くことを強くすすめる。私自身、一度申込みのタイミングを見落としそうになったことがある。


難易度の正直な評価

「難しいのか?」という問いに、正直に答える。

一次試験:難しいが、戦略次第で攻略できる

科目合格制なので、一度に3科目すべてに合格する必要はない。得意科目から始めて、段階的に合格を目指せる。私は財務分析(科目Ⅱ)から始め、その翌試験で残り2科目に合格した。

ただし科目Ⅰのポートフォリオ理論は数学的な内容が多く、文系出身者には壁に感じる人が多い。実際、私もここで苦戦した。

二次試験:一次より合格率は高いが、油断は禁物

記述式への対応が求められる。計算の答えだけでなく、論述で考え方を説明する力が必要だ。私は最初の受験で戦略ミスと数学への苦手意識から不合格になった。

全体的な難易度は、FP2級より難しく、公認会計士・税理士よりは易しい、というイメージだ。金融業界に勤める社会人が働きながら取得できるレベルだが、それなりの勉強時間と戦略が必要だ。また、私はもともと大学院で金融論を学んでいたし、株式投資も趣味だったわけだから財務分析あたりが得点源になった。前提となる知識がどの程度あるか、で勉強時間は大きく変わる。


取得メリット:年収・キャリア・投資への活用

年収・キャリアへの影響

金融業界では評価される資格だ。証券会社や運用会社では資格取得が昇進条件になっているケースもある。また、金融系の転職市場でもCMA保有者は一定の評価を受ける。

ただし「CMAを取ったから年収が大幅に上がる」というほど直接的な効果があるかというと、正直そこまでではない。私の場合は直接業務に関係していないし、あくまで「金融のプロとしての土台を証明する資格」というポジションだ。毎月の手当だけ少しついている。

田舎で働いているため、周りにほとんど証券アナリスト資格を持っている人がいない。そのためか、金融市場が混乱しているときなどに新聞、テレビなどから取材が来てコメントを求められることがたまにある。東京だとそんな体験はできないだろうから、これは資格を取ってできたレアな体験。

投資への活用

これは個人投資家にとってまあまあのメリットだと私は考えている。

財務諸表の読み方、企業価値評価、ポートフォリオ理論、マクロ経済の見方。CMAの勉強で身につくこれらの知識は、株式投資に直結する。決算書を読む力、割安・割高を判断する力、リスクとリターンを数字で考える力。これらが体系的に身につく。だからといって株で勝てるようになるということはないと思う。ただし、変な判断とか大間違いな投資を避けられるようにはなる

E-E-A-Tの観点からも有効

最近はブログやSNSで投資情報を発信する人が増えた。その中でCMAという資格は、「この人の情報は信頼できる」という差別化要素になる。Googleが重視するE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の観点から見ても、資格保有は明確な強みになる。


私の受験体験談

最後に、自分の受験体験を簡単に紹介する。

一次試験は、まず財務分析(科目Ⅱ)を受験してストレート合格。その次の試験でポートフォリオ理論(科目Ⅰ)と経済(科目Ⅲ)を受験し、こちらも1回で合格した。

問題は二次試験だ。一次合格の翌年に受験したが、不合格だった。原因はいくつかあった。数学への苦手意識からポートフォリオ理論が頭に入りきらなかったこと、点数配分の戦略が間違っていたこと。準備不足のまま本番を迎えてしまった。

翌年、TACのゴールデンウィーク集中講座を受講した。数日間で二次試験の重要ポイントを集中的に学ぶ講座で、苦手だったポートフォリオ理論の計算を徹底的に練習できた。点数配分の戦略も整理できた。そしてその年の二次試験に合格した。

一度落ちた経験があるからこそ言える。二次試験は独学だけで挑むより、要所でプロの力を借りた方が効率がいい。働きながらの勉強はどうしても疲れる。証券アナリスト試験のつらいところは、ほとんど市販のテキストがない点である。今は動画コンテンツがあるのかもしれないが、、、。 5万円ほど払ったと思うが、理解できるまでの時間が圧倒的に縮まる。金融系のサラリーマンなら自分の時給を計算して、タイパで考えた方が良い。特に数学が苦手な文系出身者には、TACなどの講座の活用を強くすすめる。


まとめ:証券アナリストはこんな人におすすめ

証券アナリスト(CMA)をおすすめするのは次のような人だ。

金融業界で働いていてキャリアアップを目指している人、投資を本格的に学びたいサラリーマン投資家、金融知識を体系的に身につけたい人。そして「自分の投資判断に根拠と自信を持ちたい」という人に、おすすめしたい資格だ。

そこそこ難しいのは事実である。しかし正しい戦略で取り組めば、働きながらでも余裕を持って合格できる。このシリーズ記事では、科目別の勉強法から二次試験の攻略法まで、私の実体験をもとに詳しく解説していく。


本記事はシリーズ「証券アナリスト合格への道」の第1回です。

筆者:30代・証券アナリスト(日本証券アナリスト協会検定会員)。銀行員→シンクタンク研究員。日本中小型株を中心に中長期投資を実践中。

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