社会人1年目にやっておけばよかったこと10選|AI時代に生き残るスキルとは

「わからないことはAIに聞けばいい」

そんな時代になった。確かにその通りだ。知識や情報は、もはや人間が頭に詰め込む必要はない。調べれば一瞬で答えが出る。

しかし社会に出て10年以上が経った今、私が確信していることがある。社会人として本当に必要なスキルは、AIが得意とすることとは全く別のところにある。

銀行員としてキャリアをスタートし、シンクタンク研究員に転じた経験から、「あのときこうしておけばよかった」と思うことを本音で書いてみたい。


AIに絶対に奪われないスキルを磨け

1. 飲み会には行っておけ

最近は「飲み会は強制参加させるな」という風潮がある。それはそれで正しい。ただ、自分から進んで行かないのはもったいない。私は入社後、断るのがカッケーみたいな人間だったので、割と失敗したなあと今では思っている。

飲みの席には、教科書にもAIにも載っていない情報が溢れている。「あの部署の本当の雰囲気」「あの上司が本当に大事にしていること」「この会社でうまくやるコツ」。こうした暗黙知は、人と人が膝を突き合わせた場でしか手に入らない。

AIはデータを処理するのが得意だ。しかし場の空気を読んだり、人間関係の機微を察したりするのは、まだ人間の方がずっとうまい。若いうちの飲み会代は、安い授業料だと思って払っておいて損はない。

2. 「何も知らないふり」で教えてもらえ

AIは何でも知っているふりをする。人間は逆でいい。

知ったかぶりは百害あって一利なし。わかっていないのにわかったふりをすると、後で必ずボロが出る。それより「すみません、教えていただけますか」と素直に聞いた方が、相手も気持ちよく教えてくれるし、自分の理解も深まる。

人間は「教える」ことに喜びを感じる生き物だ。無知を武器にするくらいの気持ちで、どんどん聞きに行こう。AIに答えを教えてもらうより、先輩に教えてもらった経験の方が、血肉になることが多い。

3. 愛想よくしておいて損はない

仕事の能力と同じくらい、いや場合によってはそれ以上に、「この人と一緒に働きたいか」という印象が大事だ。

挨拶をしっかりする。返事は明るくする。廊下ですれ違ったら軽く会釈する。AIにはできない、人間同士の温度感のある関係がここにある。

能力が同じなら、愛想のいい人間の方が仕事を任せてもらいやすい。社会はそういうものだ。どれだけAIが進化しても、「一緒にいて気持ちいい人」の価値は変わらない。むしろ今後希少価値が上がっていくと思っている。

4. 自己開示は必要だが、しすぎるな

職場で信頼関係を築くには、ある程度の自己開示が必要だ。趣味や出身地、休日の過ごし方など、自分のことを少し話すことで、相手も心を開いてくれる。

ただし、しすぎは禁物だ。恋愛事情、家族の愚痴、お金の話、政治的な意見。こうした話は、親しくなる前にすると墓穴を掘ることがある。

「7割見せて3割隠す」くらいのバランスがちょうどいい。人間関係はゆっくり育てるものだ。

5. 失敗しても言い訳をするな

AIはミスをしても謝らない。人間は逆でいい。

ミスをしたとき、言い訳をする人間は信頼されない。「〇〇さんに教えてもらった通りにやった」「システムが悪かった」。こういう言葉は、自分を守るように見えて、実は信頼を削っている。

素直に「申し訳ありませんでした。次からはこうします」と言える人間の方が、長い目で見て圧倒的に評価される。失敗は誰でもする。問題はその後の態度だ。


自分で考える習慣を捨てるな

AIが普及して最も失われつつあるのが、「自分で考える力」だと私は思っている。

答えをすぐに求めてしまう。検索して、AIに聞いて、出てきた答えをそのまま使う。それで仕事は回るかもしれない。しかし5年後、10年後に差がつくのは、自分の頭で仮説を立て、考え抜いた経験の積み重ねだ。

わからないことがあったとき、すぐにAIに頼る前に、まず5分だけ自分で考えてみる。その習慣が、思考力という最後の人間的な強みを守ることになる。


お金の土台も今のうちに作れ

AIに奪われないスキルを磨くと同時に、経済的な土台も早めに作っておくことをすすめる。

6. 貯金は100万円を目標にしろ

社会人1年目のうちに、まず100万円の貯金を作ること。これが最初の財務目標だ。

100万円という数字に特別な意味があるわけではないが、「貯める習慣」を身につけるためのマイルストーンとして丁度いい。ある程度の貯金があると、精神的な余裕が生まれる。「いざとなれば辞められる」という安心感は、思いのほか心を強くしてくれる。

給料が入ったら、まず先に一定額を貯金口座に移す「先取り貯金」が最も効果的だ。

7. NISAを早めに始めろ

複利の力は時間が長いほど大きくなる。22歳から始めるのと30歳から始めるのでは、同じ金額を積み立てても、最終的な資産額に大きな差が出る。

「投資は怖い」という気持ちはわかる。ただ、インデックスファンドへの積立投資であれば、長期で見てマイナスになるリスクは限りなく低い。まずは月1万円からでいい。始めることが大事だ。

8. 不要な生命保険に入るな

社会人になりたての頃、保険の勧誘は驚くほど多い。しかし独身で扶養家族もいない社会人1年目に、高額な死亡保障は基本的に不要だ。入社直後に某大手生命保険の生命保険に入り月1万円を数年払った。悪くはないのだろうが、従業員向けの共済や県民共済のほうが今思えばよかった。

保険は「万が一に備えるもの」であり、「資産を増やすもの」ではない。貯蓄型保険や投資型保険は特に注意が必要だ。まずはシンプルな掛け捨て保険だけで十分な場合がほとんどである。

9. 資格を取りたいなら今すぐ取れ

「いつか取ろう」は永遠に来ない。

体力も気力もある今が、勉強に一番向いている。私自身、20代で証券アナリストやFP2級を取得したが、あのタイミングで動いておいて本当によかったと思っている。現在は社会保険労務士の勉強中だが、正直、若い頃より覚えが悪くなっている笑。

取りたい資格があるなら、先延ばしにせず今すぐ始めること。


最後に、これだけは

10. 親孝行を後回しにするな

社会人になると、親への感謝を忘れがちだ。しかし親も確実に歳をとっている。「そのうち恩返しを」と思っているうちに、できなくなることもある。実際に私はそうなってしまった。一緒に旅行に行く、食事をおごる、たまに電話する。小さいことでいい。今できることをやっておこう。


AIがどれだけ進化しても、人と人との関係の中でしか育たないものがある。愛想、誠実さ、自分の頭で考える力。社会人1年目のうちに、そういう「人間にしかできないこと」を大切にしてほしいと思う。

答えはAIに聞けばいい。でも人生の軸は、自分で作るしかない。


筆者:30代・証券アナリスト。銀行員→シンクタンク研究員というキャリアを経て、現在は日本中小型株を中心に投資を実践中。

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