働くことを好きになる必要はない

世間では「働くことは楽しいべき」「仕事にやりがいを見出すべき」と言われます。でもその前提自体、実は近代になって作られた価値観にすぎません。

人類史の大半で、労働は生きるための必要悪でした。雨が降るか、食料が採れるか、天候に左右される自然災害のように、単なる生存手段だったのです。つまり、「好き嫌い」はほとんど問題にならなかった。

近代になって、「自己実現」や「やりがい」「成長」といった概念が接ぎ木され、労働は人格テストのように扱われるようになりました。ここに無理が生じているように思います。特に頭で考える力が強い人は、仕事を楽しいと感じにくいのではないでしょうか?

・自分という人的資本を計算できる

・労働と投資を冷静に比較できる

・組織の欺瞞や建前を見抜いてしまう

こうした状態で「仕事が楽しい!」と無理に思う方が、むしろ知的に不誠実です。大事なのは、仕事を好きになろうとしないこと。信仰する必要はありません。

代わりに、働くことをこういう軸で考えると楽になります。

・キャッシュフローを安定供給する装置

・社会との摩擦を最小化する仮面

・次の自由(時間・選択肢)を買うための手段

数年前に休職した時は、一度燃え尽きかけた状態でした。その年は、新しい仕事に慣れて、働くことを好きになりかけていました。また、そういう状態になる方が望ましい、とも思っていました。

しかしやはり私にとっては、労働とある程度距離感を保った方が良かった。燃えて燃え尽きる人より、冷めたまま歩き続ける人のほうが、遠くまで行ける、というのが私なりの結論です。

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