【NISA】長期投資は小型株が有利な理由|証券アナリストが解説

NISAで長期投資をするなら小型株の方がいい

NISAを始めた人の多くが、最初にトヨタや三菱商事といった大型株に手を伸ばす。「有名だから安心」という感覚は理解できる。でも証券アナリストとして企業分析を続けてきた私には、その選択にずっと違和感がある。

大型株に”伸びしろ”はあるか

学術的に見ても、小型株は大型株よりも長期的なリターンが高い傾向がある。これは「スモールキャップ・プレミアム」と呼ばれ、ファーマ=フレンチの3ファクターモデルでも実証されている現象だ。機関投資家のカバーが薄く、情報の非効率が生まれやすいため、個人投資家でも割安株を発見しやすい。

時価総額が数兆円規模の企業が今後10倍になる可能性を本気で想像できるだろうか。成長は続くかもしれないが、株価の上昇余地はすでに相当削られている。そして「大企業だから安全」という思い込みも、東芝・シャープ・日産の例を見れば簡単に崩れる。東芝は一時、日本を代表するインフラ企業だった。それでも不正会計と原発事業の失敗で株価は最大で約9割下落した。大きいことは、安全の証明にならない。

小型株の本当のメリットは「理解できる」こと

時価総額50〜100億円規模の企業は、事業がシンプルなケースが多い。売上や利益に影響を与える変数が限られているため、何が業績を伸ばし、何がリスクになるのかを自分の頭で考えられる。

三菱商事が「どうやって儲けているか」を簡潔に説明できる人はほとんどいない。エネルギー、食料、金融、不動産……事業が多角化しすぎていて、アナリストでも全体像を掴むのは容易ではない。一方、たとえば地域密着の住宅資材卸や、特定分野に特化したSaaS企業であれば、決算書1枚でビジネスの本質が見えてくる。バフェットが繰り返す「理解できる範囲で投資する」という原則は、小型株の方がはるかに実践しやすい。

NISAという制度との相性

NISAは非課税で長期保有できる制度だ。この恩恵を最大化するには、長期間にわたって成長が続く企業を選ぶ必要がある。すでに成熟した大企業よりも、これから成長曲線を描く小型株の方が、制度の設計思想とも合っている。

もちろん小型株にリスクはある。流動性が低く、業績のブレ幅も大きい。ただ、リスクを取るなら「理解した上で取る」のが鉄則だ。理解できない巨大企業に投資する方が、よほど危うい賭けではないだろうか。

自分が握れるサイズの事業に投資する。NISAで長期保有するなら、私はこれを選び続けたい。

上部へスクロール