なぜ新車は家電量販店のように販売されないのか

自動車を買うとき、多くの人はまず特定メーカーのディーラーに行きます。わたしの場合、ファミリーカーを買わざるを得ませんので、トヨタならノアやシエンタ、日産ならセレナなどが検討範囲になります。

つまり、メーカーではなく、「家族で使いやすいファミリーカー」を選びたいわけです。

冷蔵庫や洗濯機は、複数メーカーを横並びで比較するのが当たり前です。他にも、保険も同様に、今では比較サイトや銀行を通じて選ぶのが普通になりました。

ではなぜ、自動車だけが今もメーカー直列販売を続けているのでしょうか。メーカーと系列ディーラーの契約によって、新車は特定の販売網でしか売れません。

しかし本質は、そこではありません。

自動車販売は、単なる「モノ売り」ではなく、車両本体、ローンや残価設定、保険、下取り、整備といった要素が一体化したビジネスです。

これをメーカー横断で比較されると、実質金利や価格差、利益構造が一気に可視化されてしまいます。つまり、比較されるとビジネスモデルそのものが崩れてしまうのです。

一方、家電は商品が単体で完結しており、金融やアフターサービスを切り離せます。保険も販売チャネルが変わっても、引受や運用という本体は揺らぎません。

比較されても、事業が成立する構造だったため、並列販売へと移行できました。自動車だけが異質なのは、モノ・金融・安全・法的責任・生活が強く結びついているからです。

事故が起きれば命や責任の問題に直結します。この重さが、「メーカー専売=安心」という構図を長く支えてきました。

それでも、消費者側には確かな違和感があります。本当にこの車種でいいのか、このローン条件は妥当なのか、5年後にいくらで手放せるのか。こうした問いに、中立的に答える立場はほとんど存在しません。

私はここにビジネスチャンスがあるのでは、と考えています。

これから電気自動車や自動運転車が主流になっていく過程で、新興のメーカーが販売方式を変えるかもしれません。テスラのようにネットで直販するスタイルが出てきているように、すでに変化の兆しも見えています。

いつか、車が家電のような売られ方をする日が来るのではないかと考えています。

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