幼馴染が5000万円のペアローンでマイホームを買った。「家は買わないの?」と聞かれ、買わないと答えた。帰り道、なぜか少し心がざわついた。
その正体を考えてみると、「家が欲しい」という感情ではなかった。同世代が「正解ルート」を一つ進めた場面で、自分の選択と比べてしまっただけだ。
私が家を買わない理由:社宅という隠れた資産
今、社宅に月1万円で住んでいる。周辺の同等マンションは月10万円超。差額9万円、年間108万円が実質的な非課税補助だ。この状況で5000万円のローンを組む合理的な理由が、今のところ見当たらない。浮いた住居費を毎月投資に回せば、複利効果で資産形成のスピードが根本的に変わる。
一方で5000万円を40年で借りれば、金利次第では総返済額は6000万円を超える。完済時の年齢は70代だ。「家を買う=資産を得る」という等式は、立地と購入タイミング次第で簡単に崩れる。
「家を買わない」は少数派ではなくなっている
こうした選択は、実は時代のトレンドとも一致している。30代の持ち家率は1978年には51.8%だったが、2018年には35.9%まで低下した。今や30代の3人に2人は賃貸に住んでいる。背景には所得の伸び悩みだけでなく、「大きな借金を背負いたくない」「生活の自由度を保ちたい」という積極的な賃貸派の増加がある。「家を買わない」は変わった選択ではなく、むしろ標準になりつつある。
それでも「家を買う覚悟」には敬意がある
ただ、友人の選択を否定するつもりは全くない。40年ローンという言葉が持つ重さは本物だ。家を買うという行為は単なる消費でも投資でもなく、「この場所、この働き方、この生活を長期間引き受ける」という覚悟の表明でもある。その覚悟を背負った同世代を目の前にして心が揺れたのは、私自身がその重さを理解しているからだと思う。
「正解ルート」は一つじゃない
就職・結婚・出産・住宅購入。この流れを「正解」として刷り込まれている以上、そこから外れるとたまに不安が顔を出す。でも今の時代、そのルート自体が揺らいでいる。
私が最も大切にしているのは、子どもと妻に人生の選択肢があること。住居を固定しないことで、仕事・資産運用・生活の自由度を高く保てる。家はただのハコだ。「正解ルート」より、自分たちに合ったルートを選び続ける方が、長い目で見て豊かな人生になると信じている。